南礀中題

いろいろです。基本的にアフィリエイトが多いのでご注意を。

【書評】大野英士『オカルティズム』(講談社選書メチエ,2018年)

大野英士は2010年に刊行されたユイスマンス論で仏文界隈に衝撃を与えた,と私は勝手に考えている.少なくとも,私の指導教員は絶賛している.それが大野英士『ユイスマンスとオカルティズム』(新評論,2010年)だ. 本書は,ユイスマンスのフランスにおける…

ただ単に悲しくて死ぬということ【書評】ミシェル・ウエルベック『セロトニン』

編集作業などがはてなブログだと大変だったのでこちらに移行しました.

『現代思想』2019年1月号の千葉・小泉・仲山鼎談を読んで

ver1.06 まだ学部生だった時分に,ひふみさんに話をもちかけて同人誌にインタビュー(というか対談記事.「中華鍋で言葉を焼く」『Mare』,第1号,2015年.)を載せさせてもらったのは,『現代思想』2015年6月号の「研究手帖」に「そこにある相関主義」とい…

いまさらコミティアと文フリを振り返る

コミティアと文フリ 2018年11月25日にコミティアと文フリで買った本について振り返る. コミティアにて 初めてのコミティアだったので,何時間かかけて念のため全てのブースを覗いた.フランス人がたくさんいてとても楽しかった.NHKでアニメが開始した『ラ…

アーギュメンツ#3レイ・ブラシエ「脱平準化──「フラット存在論」に抗して」の誤植ほか

アーギュメンツ#3について 刊行からすでに随分経ってしまったが、私生活が落ち着いてきたので簡単に僕が協力したレイ・ブラシエ「脱平準化──「フラット存在論」に抗して」の翻訳の誤植についての訂正と感想を述べたい。 誤植について 訳者が携わった中で気づ…

首都圏と廃墟の備忘録

首都圏の老い 2018年3月17日に『都市の老い』刊行関連イベントの『首都圏の老いにどう向き合うのか』を聴講した。予定がおしていたので遅れて入っていくと、市長が話していた。いつものように場所とテーマ以外とくに調べずにやってきたら、生まれて初めて市…

開発合宿まとめ

開発合宿まとめ 3日目で夜にブログに進捗をあげる元気が完全になくなったので、帰りの機内で開発合宿の顛末を記して、備忘録の代わりとしたい(書き終わったのはさらに2日後)。 3日目 開発合宿は目的や人数によって設定すべき課題が異なる。僕ら二人はVCS…

開発合宿2日目

バルコニーにて pic.twitter.com/sc91oUPTBr— penguinspotting (@penguinmeditate) 2018年3月5日 これは3日目の早朝の風景だが、雨の中移動だった。Electronをwebpackでビルドするところまで集中的に行うことでReactの基本的な方針であるところの仮想DOMの気…

開発合宿1日目

React StudioがシングルウェブベージアプリのビルドまでできるのでそこからJSXなどを抜いてこれると思ったが、とうぜんテキストボックスなどのidがすべて自動生成なのでElectronでデスクトップアプリを作る場合に不都合だと気づくのに3時間使ってしまう。そ…

3/3

開発合宿前日なので、Reactをやりたかったが、これは二人でやりながらやったほうがいいなと思い、互いに知識の足りていないUE・UIについての本を読むことにした。以前から気になっていた『ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザイン』を読んだ。こ…

3/2

" 開発合宿前に、ウェブ周りの基礎知識をさらいたいと思っていて、渋川よしき『Real World HTTP』を一読。ほんとうに素晴らしい本だった。自分のようなウェブ素人(そもそもプログラミングもまともにできやしないが)にとって、これこそ必要な本だった。つまり…

2/23

ひさかたぶりにジムに行く。その後、政策評価の方法論についての講義に行こうと思ったら事前登録制だった。残念。歴史的史料を参照しながら政策評価をすること、すでに結果が出ていることについてどう比較するのかといったことを調べるのは非常に面白そうだ。

2/22

事由あってあまり寝れず、朝から目眩。3時間ほど横になってから、駒場にて訳文指導。先日決まった3月の開発合宿に向けて意識が高まる。知人に会って立ち話。行列の復習。

2/20

日付を超えているが寝れないので書く。翻訳修正進まず。やっているうちにフランス語が楽しくなってきた。新宿に用事あり、発売された『多様体』を手に取る。興味深いラインナップだった。音信不通の友人と連絡が取れる。大過なく安心す。数学はできなかった。

2/19

修論の仏語見直しを主にした。その過程で、審査で指摘された論理的欠陥の生じた理由とそれに対する応答を整理した。早い話、論述にかなり問題がある。果たして3年で博士論文が書けるのか不安になってきた。しかし、フランスに行けば資料アクセスや専門家アド…

2/18

有楽町にて開催された大江戸骨董市に赴く。ポストインキュナブラのホラティウス全集の1冊が4.9万円、1523年初版ヨハネの福音書が227万円で販売されていた。真贋不明。いずれにせよ、天日干し状態にされており、最悪の管理体制だった。店の人に由来など問い質…

2/11-17

翻訳直しが続き生産性のなさに精神的に疲弊しているのでせめてものアウトプットとして身辺雑記を記す。 13日、本郷で劣モジュラ関数の研究をしている友人に会う。数学について勉強法の具体的なアドバイスをもらう。19世紀後半の数物理、化学を理解するために…

シンポジウム「人文知の明日を見つめて」まとめ

この記事は、人文知の明日を見つめて —メディアの刷新と知変貌—での講演の一部をまとめたものです。私の関心や体力の関係で記述量にはムラがあります。また、会場でレジュメが配布されていなかった関係で、私の補足が多くあります。そのため、発言の正確さが…

学振採用と修士生活

はじめに 学振について書く記事が少ないというのは昔から思っていた。とくに、人文系DC1の人がどのようにして採用されたのかわからないことだらけだった。経済的保証がある程度ある学振採用は、研究に対するモチベーションが高まる副作用もあるので、多くの…

言語態研究会ワークショップ 第一回研究発表

〈文芸誌を再考する〉 バルザックと文芸誌の詩学《序》 発表者 谷本道昭 * これは2017年12月27日に言語態研究会ワークショップにて発表された内容を執筆者(佐藤正尚)の補足によって公開したものです。よって言語態研究会の公式ページではありませんし、内…

レポート:ワークショップ「オーギュスト・コントの2つの顔 メアリー・ピッカリング『オーギュスト・コント伝 ― 人と思想』を読む」

はじめに ワークショップ「オーギュスト・コントの2つの顔 メアリー・ピッカリング『オーギュスト・コント伝 ―人と思想』を読む」は法政大学市ヶ谷キャンパスポアソナードタワー25階C会議室にて、フランス語と英語によって行われた。20世紀前半に活躍して…

La Semaine Littéraire, à propos de Marcel Proust - À la Recherche du temps Perdu.- Du Côté de Chez Swann, Gaston de Pawlowski

La Semaine Littéraire à propos de Marcel Proust - À la Recherche du temps Perdu.- Du Côté de Chez Swann, un volume à 3fr. Grasset, éditeur Comœdia du dimanche 11 janvier 1914 page 3 par G. de Pawlowski Voilà cerainement un des livres les p…

XML文書のタグ内テキストを連番ファイルに書き込む

目的 XML文書をパースするときに、任意のタグ(pとかdivとか)の中身を順番に抽出して、ファイルを連番で生成しながら抽出した順番にそのファイルに書き込んでいきたい。 イントロダクション プログラミング初心者にとって一番大変なのは実はその言語の仕組…

anaconda病

はじめに 人文学系から人文情報学にダイブしていたので、情報学関係を学習するのが大変な1年だった。その中で、環境構築をしようとしたり、学習本のサンプルや問題演習の解答を探るためにググりまくって多くの人にお世話になったので、たまには恩返しがてら…

夏コミで『Merca β02』に関わりました。

詳細は <a href="http://animerca.blog117.fc2.com/" data-mce-href="http://animerca.blog117.fc2.com/">Merca(アニメルカ)公式ブログ</a>animerca.blog117.fc2.com です。 1日目(8月14日)だそうです、よろしくお願いします。僕は中村明日美子座談会の構成周りを少しと、市川春子座談会の末席に加えていただき、その構成周りを少し担当しました。 とくにマ…

冥王星とサソリ自殺論争

冥王星とバスティーユ もしもそれが20世紀の早い時期であるならばきっと「新展望」と訳されたはずの無人探査機から冥王星到着の通信が届いたのが2015年の7月14日であるならば、そこではまず間違いなく革命の話をしなければならない。バスティーユ襲撃から始…

文フリで寄稿したものなど雑感

psychAのこと その界隈では有名な『psychA』に2号連続投稿させていただきました。1号の方にはGINETTE RAIMBAULT, CAROLINE ELIACHEFF『天使の食べものを求めて : 拒食症へのラカン的アプローチ』の書評を寄せましたが、2号の方では「力動精神医学についての…

Il faut marcher bien au cimetière(ジャッキー・デリダ1930-2004と墓参り)

ジャック・デリダJacques Derridaの墓参りをしようと思ったのは2013年の夏の休暇の頃である。そういえば2014年に没後10年経ち世代が一つ変わるではないかと思ったわけだ。そんなわけでこつこつパリ周遊費を稼ぎ、行ってきた。 Gaîté駅近くの三等ホテルに三泊…

JULIA DECK. Viviane Élisabeth Fauvilleについて

ミニュイと言えば肩をすくめる人もいるかもしれない。そんな出版社だ。前衛でちょっとお高く止まってもいる気がする、そんな文学ばかり出しているところ。実際、クロード・シモン、マルグリット・デュラス、ロブ=グリエ、ベケットなどを抱えていた編集者ジ…

フラバルの『剃髪式』刊行に寄せて

フラバルを嫌うというのを聞くと、そう言う人が本の中に自分の人生を全く変えてしまう魔法の杖を求めているとしか僕には思えない。もちろん、『ハリーポッター』を読んだところで朝起きても枕元に魔法のステッキはないどころか、そもそもフクロウはこの国じ…